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● シンポジウム2002.06 ●

シンポジウム「コンセンサス会議の可能性〜市民参加への道を拓く」の概要


日 時 2002年6月8日 午後1時30分〜5時20分
場 所 東京電機大学神田校舎 7号館4階メディア教室
主 催 科学技術への市民参加を考える会
参加者 会員13名、非会員37名

「開会のあいさつ」 鏑木孝昭

「市民参加の手法――その潮流」 若松征男
世界的に市民参加が求められているなかで、日本でも多様な試みがある。とくに地域では、市民パネル、審議会などへの市民参加・住民参加、パブリック・インボルブメントなどが実施されている。
 コンセンサス会議の起源はテクノロジー・アセスメント(TA)である。この考え方は米国で誕生し、1970年代に連邦議会の技術評価局(OTA)が設置された。この考え方が欧州に伝播する過程で、参加型のTA手法として1980年代にデンマークでコンセンサス会議が開発された。その後、欧州各国で実施されたことでデンマーク方式のコンセンサス会議は完成された手法となり、きわめて安定した頑健な方法であることが明らかにされている。
 市民参加の手法はコンセンサス会議に限るものではない。日本でも、ワークショップ型の手法を試行した自治体がある。日本でこれから試みることが期待される方法として、シナリオ・ワークショップを推薦したい。利害対立がはっきりしている場合に、この方法はとくに有効であろう。

「コンセンサス会議実践マニュアルの解説」 牧慎一郎
考える会」の会員6名が中心となってマニュアルを作成した。コンセンサス会議のやり方はひとつではないので、どこまでマニュアルに書くべきかに悩んだ。最終的には、「本会議」(コンセンサス会議の主要部分)を1泊2日で実施するやり方を記載した。
 市民と専門家の関係として、啓蒙モデル(専門家が情報を提供して大衆を啓蒙する)と対立モデル(複数の専門家が互いに対立し非難しあいながら大衆に対して宣伝合戦を行う)がこれまで想定されてきたが、コンセンサス会議モデル(複数の専門家が市民パネルに説明し、市民パネルが評価をくだす)はそれらとは異なる。
 コンセンサス会議に対する一般的な心配事として、市民パネルの議論が主催者によってコントロールされないか、一部の市民パネルが議論を歪めないかという不安感がある。制度設計上の問題点として、運営体制の公平性、市民パネルの構成、議論の進め方、市民の意見の政策への反映などがある。事例を積み重ねて運営ノウハウを蓄積ね、運営上の創意工夫を行うことが今後の課題である。

「日本の事例1 遺伝子組換え農作物を考えるコンセンサス会議(農林水産省、2000年)について」 新野聡一郎
行政機関を巻き込んだ初めての開催事例であること、市民の提言にもとづいて調査研究が行われたことが特徴である。評価指標の設定がむずかしいが、いくつか考えてみると、中立性、円滑性、参加意欲は良好である。合意性については、少なくない少数意見があった。政策指向性については、上記のように市民の提言にもとづいて調査研究が行われた。社会的注目については、朝日、毎日、読売の各紙がこのコンセンサス会議を報道し、合計で15件の記事がでた。考える会として、今後は、会議自体の実践的評価(継続性)、コンセンサス会議の普及に貢献したか(再現性)、参加型TAとして効果があったか(市民参加)について評価していきたい。

「日本の事例2 遺伝子組換え農作物を市民が考える会議(農林水産省、2001年)について」 鏑木孝昭
名称がコンセンサス会議ではないことが示すように、運営方式がいくらか異なる。3日間のプレゼンテーションのあと、「中間とりまとめ」を行い、それから1日間の補足のプレゼンテーションがあって「最終とりまとめ」を行った。この運営方式が有効かどうか、議論する必要がある。市民パネルの構成については、主婦を中心とした横浜会議と、農業者を中心として仙台会議の2回を別々に行った。
運営委員会の役割を軽減し、官庁の外郭団体が運営に関与したが、公平性、中立性を守るべく、かなりの努力をしていた。しかし、時間配分の悪さから、反対派の専門家のプレゼンテーションの時間が圧縮された。これは、故意と受け取られかねない。また、反対派の専門家を集めるのは難しく、市民が要望する適切な「反対派」を用意することができなかった。
この会議の工夫として、ポスト・イットの色分けがある。課題は黄色、もっと知りたいことは緑色の紙に書き出すことにきめて、それをもとに議論していた。横浜の参加者は、自主的に会議の進め方を決めていった。こういう会議上手な人々は、はたして市民と言えるのであろうか。

「日本の事例3 ヒトゲノム研究を考えるコンセンサス会議〜ヒト遺伝子の解明がもたらす未来を市民自らが考える〜(科学技術庁、2000年)」 福田恵
コンセンサス会議(実験的試行の2回目)の市民パネルをつとめた経験から、市民パネルの役割は「わからない」と問いかけることだと認識した。そこで、考える会のマニュアルにしたがって、わからないところを述べる。
まず、目的について、このコンセンサス会議のウェブサイトの表紙と、参加者に配布された「会議のマニュアル」(これもウェブサイトにある)の記述にちがいがある。運営体制について、主催者と事務局が同じであるが、分けるべきではないか。市民パネルの構成については、応募者の数、選び方が公開されていない。説明者のなかに企画委員や科学技術庁職員(研究所の研究者)が含まれていて、中立性に疑問がある。マスコミに対する公開の姿勢はみられたが、あまり報道されなかった。市民パネルの提言には、情報公開、話し合う場づくりなど、コンセンサス会議が果たし得る役割に期待が込められていた。

「日本の事例4 コンセンサス会議に学ぶ地域実験――地域における小さなコンセンサス会議Community Consensus Conference」 和崎宏
まちづくりをテーマとして姫路市で行った。2000年6月22日に実行委員会が発足し、まず、7月22日〜23日にプレ・シンポジウムとして、コンセンサス会議の勉強会を行った。その記事は3紙に掲載された。8月から、専門家パネルの選定、市民パネルの募集と決定を行い、テーマをゴミと環境にしぼって秋口から予備会議と本会議を実施した。2001年に入って、提言作成の会議を3回にわたり実施したが、うまくまとまらなかった。

(作成:塚原修一)
 
 
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